結婚による苗字が招いたトラブル:婿養子から始まった財産相続のトラブルについて
結婚による苗字が招いたトラブル
相続トラブルの元は母の姉が結婚した事から始まりました。母3人姉妹の末っ子なのですが、1番上の姉、私にとっての伯母が結婚した時、相手方の苗字になったそうです。私の祖父母は3人娘の誰かに苗字を継いで欲しいと思っており、本来はそれを長女である伯母に期待していました。しかし、伯母の結婚相手がそれを嫌がり、最終的に相手方の苗字を選んだのです。
長女である伯母が結婚し、苗字を変えた後、祖父母は次女である伯母に婿を取ることを期待しました。確かに長女が結婚して苗字を変えた状態でさらにまだ苗字を残すことを期待するのであれば、白羽の矢は次女に立ちます。ちなみに三女である私の母は当時は結婚する気がなかったらしく、全く蚊帳の外にいたそうです。
そして、祖父母は古い考え方の持ち主だったため民法をよくわかっておらず、名字を継いだ人物がすべて相続するものだと考えていたように思います。そのため、次女が結婚して苗字を残し、財産を継ぐことを期待するようになりました。決して長女である伯母や三女である私の母に財産を譲りたくなかったわけでは無いのですが、財産は苗字を継いだ者が継ぐ、という考え方を持っていたようです。さらに昔から長女に対し、「お前がこの家を継ぐんだ」と話していたため、次女に期待し始めた祖父母の様子を見て、すでに結婚した長女である伯母は愕然としたそうです。
これがすべてのトラブルの始まりでした。伯母は結婚して変えた苗字を戻したい、何とかして自分の苗字を取りたい、と考えるようになったのです。私自身が調べたわけではないのでどのようにしたら良いのかは分かりませんが、少なからず何かしらの方法はあったことでしょう。しかし、なんとか夫である伯父を説得し、苗字を変える事に賛成させた伯母はどのように苗字を変えたら良いのか調べることをせず、夫である伯父を祖父母の婿養子として迎えさせることで苗字を変えようと考えました。
つまり、例えば祖父母の家が田中であったとし、長女が結婚によって小川になったとします。夫を田中の家の婿養子として迎え、長女、次女、三女、そして長女の夫の4人の子供がいるかのようにすることで自分の苗字を変えようと思ったのでした。その方法を思いついた長女は早速書類を用意し、「苗字を変えるためだ」と言って具体的な説明をすることなく祖父母にも署名をさせたようです。きちんと説明を受けずに署名した祖父母にも責任はあるのですが、祖父が気づいた時、祖父の戸籍には4人の子供がいる状態になっていました。つまり、これによって長女の夫である伯母にも法的には財産の相続権が発生してしまったのです。これがトラブルの元です。
ちなみに、結婚によって苗字を変えた場合、2人で苗字を戻したいと思うのであれば、1番簡単な方法は離婚してまた婚姻届を入れることのようです。同じ人との結婚であればすぐに再婚できますので、離婚によって苗字を戻し、再度婚姻届を提出する、といったスタイルの方がトラブルもなく、また確かにバツイチにはなりますが、同じ人との結婚ですから、特に問題はなかったかもしれません。しかし、伯母達はこの方法を考えることなく、むしろ婿養子こそ唯一の方法だと本気で信じていたらしいです。
もちろんこのことに気づいた祖父は怒り心頭でした。しかしこれこそ後の祭りであり、署名してしまった以上、婿養子を簡単に解消することはできません。これまでは祖父と伯父の関係はそれなりに良好だったのですが、祖父にしてみれば騙される形で息子ができてしまったため、これ以降2人の関係は急速に冷え込んだそうです。伯父は妻である伯母に「婿養子になってほしい」と頼まれる形で同意し、祖父はきちんと説明を受けずに娘の言い分を信じて署名してしまいました。そのためお互いに自分が被害者だという意識があり、歩み寄ることもできなかったのです。
関係が急速に冷え込んだため、祖父母にとっては「自分の財産を婿養子にはやりたくない」といった考え方が芽生えました。もともと民法はよくわかっていなかった祖父母ですが、婿養子ができたことによって息子ができた、その息子にも財産の相続権がある、ということに恐怖心さえ感じてしまったようです。確かに法律上は4人の子供がいるということになってしまうため、このままでは「本来は娘の1人に苗字を継がせ、財産を受け継がせようと思っていた」はずなのに、いきなりできた息子に財産の4分の1をとられてしまう、もしかしたら長女と伯父がすべてを持っていってしまう、などと考えるようになったようです。
これも極端な話なのですが、せっかくこれで長女が全てを継げると思っていた祖父母にとっては、その財産が他人に行ってしまうかもしれないという事は恐怖の何者でもありませんでした。確かに、自分の財産が子供に行くなら良いですが、子供の結婚相手の名義になってしまうと考えたら怖いかもしれませんね。
さらにこのトラブルの問題は、祖父母と伯父の双方が自分が被害者だという意識を持っていたことです。お互い頑固者でしたから、歩み寄ることもなく、特に祖父は伯父を毛嫌いしました。伯父は決して嫌な人ではありません。もともと2人は恋愛結婚でしたから、むしろ義妹である私の事は結婚前から可愛がってくれました。しかし、祖父は「最初から婿になる気がないのになぜ結婚したのか」とさえ言い始めたのです。
そのため、祖父は財産が伯父に行かないようにするためにはどうすれば良いのか考え始めました。ちょうどその頃、次女である伯母も結婚しようとしていたのですが、このような問題もあり、祖父は次女の結婚をなんとなく快く思えなかったそうです。また財産を取られるのではないか、といった被害者意識、恐怖心、固定観念などが働き、かなり警戒していました。もちろん長女が苗字を継ぐことになったわけですから次女は結婚によって苗字を変えて問題ありませんし、次女も苗字を継ぐ気はありませんでした。それでも祖父は「5人目の財産相続者が増えてしまう」と感じていたようです。
次女は無事に結婚し苗字を変えました。しかし、次女が結婚した半年後から、祖父は自分の財産が長女と伯父に行かないように、そして次女にも行かないように、本気で対策を取り始めたらしいのです。その結果、なぜか当時は結婚しないと考えられていた三女である私の母に全財産を継がせる、といった旨の遺言を残そうとしたそうです。結婚しないと言っている人間に財産を継がせれば、憎い義理の息子の血を引く孫にも財産が行かない、自分たちの血だけを引いた娘だけのものになる、といった狂気的な考えでもありました。
当然ながら、この考え方は長女と次女から猛反発を食います。長女も次女も、祖父がこのような遺言を書いた場合、本当に全財産が三女に行ってしまうと考えたようです。実際は財産をもらうというのは子供の権利ですので、祖父がこのような良い子を書いたとしても、少なからず多少の相続分は長女が次女に残るのですが、当然ながら兄弟で平等に分配する、という必要がなくなります。もともと幼い頃から財産を継ぐということを聞かされて育った長女にしてみれば自分以外の誰かが財産を継ぐなんてありえない、という考えであり、しかもそのために苗字を変えたわけですから、「せっかく苗字を変えたのに!」という意識がありました。また、巻き込まれたくないと考えていた次女も同様です。そこまでの財産がある家でもないのですが、お金が絡むと人間は本当に変わります。
介護が加わってトラブルが悪化
最終的に、三女である私の母が財産分与について調べ、祖父に色々と教えていたそうです。ちょうど伯父が婿養子になった頃に母が大学を受験し、母は法学部に進みました。全体にこの相続の問題に関心を持っていた母は、法学部で色々と調べていたそうです。そこで、財産というものは子供に受け取る権利がある、ということを学び、仮に遺言書を残したとしても、子供には多少の財産が行く、ということがわかりました。もちろん特に祖父にとっては寝耳に水であり、さらに祖父と伯父の関係は悪くなりました。
もともと長女と伯父は祖父母の家で同居していましたが、トラブルが大きくなってしまい、彼らは同居解消しました。今思えば、なぜそこまで人間関係を悪化させておきながら一緒に暮らしていたのかよくわからないのですが、長女は財産を継ぐということに固執しており、実家を出た時点で財産を継ぐ権利がなくなる、などとも考えていたようです。しかし伯父から説得され、彼らは家を出ました。その後長女が妊娠し、女の子が生まれたのですが、伯父との関係が冷え切っていたために長女は実家に戻って生まれた赤ちゃん、つまり私の従姉を両親に見せることもできず、生まれてから何年もの間、顔を合わせなかったそうです。実際には祖父が一方的に嫌がったそうなのですが…
この頃、私の母、つまり三女が恋人を見つけ、結婚を考えるようになっていました。しかし、都合が良い見方ではありますが、次女の結婚によって三女が結婚しても婿養子が生じるとは限らない、息子ができるとは限らない、つまり、新たな財産相続者ができるわけではない、ということに気づいた祖父は三女の結婚には好意的であり、さらに、今まで財産に関してあらゆる助言をしていた三女である母のことをかなり可愛がっていました。そのため母は何の問題もなく私の父と結婚し、苗字を変え、祖父母とは良好な関係を築いていたのです。
そんな中で祖母が亡くなりました。祖母は伯父たちに対しても丁寧に接していましたし、祖父が険悪な関係を築いていた長女の夫のことも「長女を大切にしてくれている人だから」と評価していました。その祖母のおかげでなんとなく関係が保たれていた部分もあるのですが、祖母がいなくなってしまったために、祖父は適切な仲介者をなくしたことになり、さらに独りよがりな勘違いをしていくようになります。
祖母が亡くなったことにより、母たちは祖父との同居を考え始めました。ちょうど祖父が階段から落ちてしまい、介護が必要になったのです。しかし最近の老人ホーム等は値段が高く、また、祖父が極端に嫌がったことから、ホームに入れることができませんでした。
祖父は同居を嫌がり、もしも同居するなら私の両親と一緒に暮らしたい、と望んだそうです。しかし私の両親は父の仕事の関係で遠くに住んでおり、同居は不可能でした。また、長女が同居申し出たのですが、当然ながら祖父が嫌がり、それでも嫌々ながら次女夫婦と同居することになったのです。2人には子供がいなかったため、祖父も静かな環境で生活ができる、という気持ちもありました。現実問題、次女夫婦が最も適切だったのです。
しかし、これによって次女の夫である伯父と祖父の関係も今まで以上に悪化しました。祖父にしてみればまた自分が被害者という意識があり、「娘夫婦は財産目的でこの家に入り込んできた」と考えるようになりました。特に伯父に対しては「どうせ財産が欲しいんだろう」ということで、母が聞いても呆れるほどだったとのことです。その頃には私も幼稚園位の年齢になっていましたが、祖父の家に行くのは毎回楽しみでした。祖父は私を可愛がってくれましたので、特に幼い頃はそのような問題が持ち上がっているなど、気づきもしませんでした。
その間、祖父は本当に遺言書を書いたようです。さらに自分のお金が入っている口座をあちこちに作り、お金を分配し、長女や事情にバレない工夫もしていました。私の両親が呼ばれ、すべての口座の場所を教えてもらったそうですが、長女や次女には内緒だと言われたものも多かったようです。つまり、自分が死んだ後に長女や次女が知らない口座に財産を入れておけば、そのお金がその娘たちに渡ことがないだろうと考えた苦肉の策でもありました。実際はそのような事はありえないのですが、知識がない祖父なりに一生懸命考えた結果だったようです。ちなみに、当たり前ですがその頃には母と姉達の関係もそれなりに悪くなっていましたので、母も祖父を尊重するため、すべての情報を姉たちと共有する事はなかったそうです。お金は本当に怖いですよね。
あまりにも関係が悪化したため、次女は離婚しました。伯父は祖父の勘違いに耐えきれず、家を出ようとしたのですが、かといって祖父を放っておくこともできず、次女は祖父を選んだのです。彼らの結婚は祖父によって破壊されたと言っても過言ではないかもしれません。それくらいの勢いで祖父は自分の子供たちを警戒していました。
徐々に介護の問題が持ち上がって行きます。離婚したとは言え、次女は祖父の面倒を見ており、今度は事情も財産に関して大きな勘違いをするようになったのです。つまり、財産というものは兄弟で平等に分配しなければいけませんが、祖父と同居している、そして介護をしている、ということで財産に関しても優遇されると考えるようになりました。
実際には、祖父名義の不動産も財産分配の対象になりますし、それなりに次女は嫌な思いをしながら祖父の介護をしていましたので、祖父に何かあった場合は自分に多く財産が分配されるのは当たり前だと考えるのも理解できます。精神論で言えば、介護は大変ですから、介護をしている人が多くの財産を受け取ってもおかしくは無いのかもしれないと思います。しかし法律はそこまで甘くはありません。もしも祖父が死んだ場合、不動産や土地も含めてその財産が分配されることになりますので、次女はその点が理解できないようでした。自分は祖父のせいで離婚することになった、長女は婿養子を取るなどというトラブルを引き起こしたにもかかわらず祖父の介護には携われない状態でいる、婿養子で入ってきた義兄も何の役にも立っていない、そして自分の妹はなぜか極端に可愛がられている、などという状態であれば、誰でも嫌になってしまうのではないでしょうか。むしろ、そのような状態で祖父の介護を続けた次女を尊敬してしまいます。
しかし、どうやら長女と次女が祖父が死んだ後にどうするのか話し合ったとき、長女は次女に対して「財産はあくまでも4人で分配するのだ」と話したそうです。私の母は「伯父が財産の受け取りを辞退してくれたら1番良い」と考えていたようですが、そのような選択肢はありませんでした。財産はあくまでも4人で分配する、つまり長女夫婦が財産の半分をもらう、そしてその場合は不動産も関係なく財産として分与する、と長女が話したそうで、次女は焦ったそうです。確かに、仕事もできない状態で祖父の面倒を見ながら離婚までしたのに、祖父が死んだら家を追い出されるという形になりますので、さすがにそれはひどいのではないかと思います。しかしお金は人間をそこまで変える象徴的な話でもあります。
しかも兄弟が3人いるとなれば、話し合いも簡単にはできません。私の両親は実家から離れたところに住んでいましたから簡単に話し合いに参加できることもなく、長女と次女だけで無意味な話し合いも何回か行われていたそうです。
トラブルにならないように親が考えることも大切
私の母は、自分は実家から遠く離れていて、祖父に何かがあったとしても話し合いなどに参加ができない、それでもできれば穏便に済ませるため、伯父には財産の相続を辞退してほしい、と考えていました。そのため、いざとなったら行政書士の助けを借りることも考えていたそうです。とは言え、法律上は伯父も財産を相続する権利を持つ1人ですし、確かに法律上では長女夫婦が財産の半分を持っていくことになります。私の祖父は田舎ではありますが、それなりに広い土地に大きな家を建てて生活していましたので、売却すればそれなりのお金になったのではないかと思われます。特に歳をとってからは祖父にもいろいろお金がかかりましたので年金も大して残らず、現金はあまりなかったのではないかとさえ思います。つまり、もしかしたら不動産と土地が財産の半分以上を占めている可能性さえありました。そうなれば間違いなく次女は家を出ていかなければなりません。しかし、今まで祖父の介護をしながら働けない状態でやってきた次女は行く場所がありませんし、家を追い出されてしまえばそもそも生きていけません。さすがに姉である長女がそんな意地悪を考えていたとは思えないのですが、どうやらそこまで考えていなかったようです。
また、やはりこの年齢になると友人たちの両親がなくなるなどということもあり、周りから財産相続に関する様々なトラブルを聞くようになったようです。特に兄弟で財産分与をめぐって争いが起こった、兄弟の配偶者が財産分与に関して強く主張し、兄弟の関係が悪くなった、などという話も実は珍しくありませんでした。そのような話を聞くたび、私の母も「父に何かがあった場合、姉妹とは連絡を取らなくなるかもしれない」という思いを募らせていたようです。特に、兄弟の配偶者が財産分与に強く主張し、兄弟間が悪化したなどという話を聞くたび、母は財産の受け取りを辞退しない可能性が強い伯父に警戒心を持つようになっていました。実際には、母が直接伯父と話をしたわけではありません。すべては姉達から聞いた話なのですが、母も冷静さを失っていたように思います。
そして、その祖父が亡くなりました。母はほださ出やすい性格ですので、葬儀に参列して伯父と良い雰囲気で話をし、やっぱり財産を受け取る権利を辞退する必要は無いのではないか、などと考えているようです。その一方で、不動産を売却してしまえば次女が住む場所を失うということで、それに関してはきちんと考えたようでした。ただし、次女が1人で住むにはその家は広すぎるという事、手入れなども大変であること、そもそも家が古いということで、次女はアパートを借り、今はそちらで生活をしています。もちろん仕事をしていなかったため、新たに仕事を探さなければならず、その間の生活費等は祖父の貯金から出していました。これに関しては長女や私の母も同意しており、祖父の介護をしていたのだからそれくらいの権利は当たり前だと考えているようです。
最近は両親の面倒を見るために仕事ができないという若い人も増えていますよね。両親を老人ホームなどに入れるにしてもそれなりにお金が必要で、そこまでの余裕がない、そのために子供が面倒を見なければいけない、そして仕事を続けられない、などという理由で仕事を辞めざるを得ない人も増えています。社会的には男性が自分の親の面倒を見るために仕事を辞めることばかりが取り沙汰されていますが、実際は次女のように、女性が仕事を辞めなければいけないというケースもあるのではないでしょうか。しかし女性の場合、男性よりも職探しが難しいという傾向があります。次女は子供がおらず、離婚した後だったため、職探しでも「再婚はしないのか」などというセクハラまがいの質問を受けたこともあったようです。もしも結婚して子供がいたら、さらに大変だったのではないかと思います。もっとも、結婚して子供がいれば仕事を新たに探す必要はなかったのかもしれませんが…
そして伯父が財産分与をどうするかということに関してはまだ決着がついていません。母はすっかりほだされたようで、行政書士にも相談はしていないようですし、もしかしたら本当に4人で財産を分配することになるのかもしれません。今、次女がきちんと生活できるようになるのを待っている状態ですが、それでも、今まで親の介護だけをして仕事をしてこなかった50代の女性が自分の足で立てるほどの経済的な基盤を築くのは、今の時代は不可能ではないかと思います。そのため、長女も私の母もとりあえず今は待っている状態ではありますが、2人とも、内心次女はずっと祖父の貯金を利用しなければ生活できないということに気づいているのかもしれません。しかし、そうなればいくらまで貯金を利用して良いのかわかりませんし、祖父が既に他界している以上、その貯金は増えていきません。せめて祖父が生きていれば年金が入ってきますが、祖父が亡くなった以上はそのようなこともありませんので、完全に貯金を切り崩している状態です。
ですから、財産を分与するどころではないのです。確かに今、祖父が住んでいた家には誰も住んでいませんが、その家を建て壊すにも大金がかかりますよね。確かに田舎の一等地ではありますので、土地だけであればそれなりに売れるのかもしれません。しかし、建物を壊すとなれば建物を壊すだけではなく、その瓦礫を撤去するにもお金がかかります。特にこの瓦礫撤去にお金がかかるらしく、建物を崩してしまえばそもそも財産自体が残らないかもしれません。財産が残らないとなれば次女は生活ができなくなりますし、だからといって祖父が住んでいた大きな家を残しておいても管理費がかかるだけですし、税金もかかります。どっちに進んでもお金がかかるという状態で、完全に停滞しています。
私は孫として話を聞いているだけですが、やはり両親たちの問題を身近で見て、財産というものは本当に怖いと感じています。むしろ、最近は自分が死ぬ前に財産等についてきちんと整理をしておくという人が増えていますが、そのようなことも本当に大切です。昔は長男が財産総取りという形でしたから、実際に問題はあまり起こらなかったのかもしれません。1人が全てを相続するとなれば、その人がお墓や仏壇などの問題も抱えるわけですし、ある意味では平等だったのかもしれないです。
しかし、今は兄弟で財産を平等に分けなければならず、それでも苗字を継いだ子供がお墓や仏壇を抱えるという風潮があり、なんだか平等ではない時代になりました。しかも次女のように親の介護をしている人にしてみれば、精神論ではありますが、財産が平等に分配されるということに対して不満を覚える人もいるでしょう。そればかりではなく、実際に親が死んだ場合に生活できなくなってしまう人もいるのです。
そのため、財産に関しては正しい知識を持たなければいけません。私の祖父は民法をきちんと理解していませんでしたし、長女の婿養子のトラブルにより、さらに勘違いを続けていました。昔の人ですから、新しい考え方に耳を貸すわけもなく、自分の財産が取られるといった意識を強く持ち続けていたのです。確かに、祖父にはそれなりの年金がありましたし、土地も家も大きく、本来はそれなりに財産が残るべきだったのかもしれないとも思います。しかし、時代の流れによって介護などにもお金がかかるようになりましたし、実際にいくら残るかという事は誰にもわかりません。だからこそ、自分の財産を過大評価せず、正しい知識を持った上で自分の財産がどうなるのか、子供たちが揉めないようにするにはどうすれば良いのか、親として考えておかなければいけないのではないかとも思います。