遺産分割協議による詐害行為
母が亡くなり、相続手続をすることになりました。
相続人は父と私です。相続財産は母名義の土地建物です。
父は事業をしており、借入金が多くありました。父は、母の財産を相続すると債権者から母の遺産が差し押さえられるかもしれないというので、遺産分割協議の結果、私が母の財産をすべて相続することになりました。ところが、数か月後、債権者よりその遺産分割協議は詐害行為だということで取り消すと主張してきました。
私はどうしたらいいのでしょうか。
弁護士の亀岡です。
事前の対策としては、遺産分割協議ではなく、お父様が相続放棄をすべきでした。相続放棄は詐害行為取消権の対象とならないので、相続放棄をしていたら問題は生じませんでした。
今回の様に相続することにより相続財産が差し押さえられないように遺産分割協議をすることは通常詐害行為の意思があると言えるでしょうから、取り消しの対象になります。
こうなってしまった場合には、相手方と交渉して、お父様の相続分相当額である不動産の価格の2分の1相当額を支払って和解するか不動産を売却してその半分を和解金として債権者に支払うなどの方法をとることになります。ただし、お父様に他に債権者がいる場合は、より解決策が複雑になります。