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遺産相続・遺言書の弁護士相談|吹田市のかめおか法律事務所

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生前贈与のメリットと注意点

コラム

 

今回は生前贈与についてお話いたします。

 

 

 

1. 生前贈与とは

 

 

被相続人が存命中に、相手方に対して無償で財産を与える契約行為といいます。
民法上の贈与契約がまさにその生前贈与になります。
あえて「生前」と付くのは、相続においては財産移転が被相続人の死亡時であることに対して、比較して分かりやすいからという理由ともいえます。
相続と比較して生前贈与のメリットは、ご自分が存命中に相手へ財産を移転することができる点です。
相続時に財産が無くなっていたり、渡したい相手が相続時に死亡していたり、相続人でなかったために財産を受け取れなかったりするリスクを回避することができます。

 

 

 

2.弁護士に生前贈与を依頼するメリット

 

 

2-1.有効な契約書を作成できる

 

弁護士に依頼するメリットの中で一番大きいのが、弁護士に有効な契約の作成を任せることができる点です。
生前贈与は、必ずしも契約書が必要というわけではなく、口頭でも成立します。ただ、後になって生前贈与の有無が争いになった場合に、確かに生前贈与があったと証明することは契約書以外ではかなり難しいのが実情です。
反対に、仮に生前贈与の有無が問題になったとしても、契約書にきちんと記載されていたのであれば、生前贈与がなかったと証明することは容易ではありません。
では、どのような契約書にすればよいでしょうか。
実際に契約書を作ってみたものの、裁判になった時に証拠として使えなかったという事態もあり得ます。
そこで、契約書の作成を弁護士にご依頼いただくことで、証拠として使えなかったという事態を回避することができます。

 

 

2-2.いつ誰にどれくらい贈与すべきかの相談ができる

 

生前贈与と言っても、いつ誰にどれくらい贈与をしたらよいか悩むことも多いかと思います。

ご家族に相談すると、自分がより多くもらいたいと考えてご相談者の思いとは違う結論を出されてしまうということも有るかと思います。
弁護士であれば、利害関係がないので、より客観的にいつ、誰に、どれくらい贈与したほうがいいかを一緒に考えることができます。
また、預貯金や不動産、有価証券など財産は様々です。

それぞれをどなたにどれくらい贈与すべきかということもかなり悩ましい問題です。弁護士がご相談者と一緒に一つ一つ検討することができます。

 

 

2-3.生前贈与を行った場合のリスクなどの助言が聞ける

 

例えば、ご自宅をお子さんに生前贈与した後、お子さんと不仲になり、お子さんがもう自分名義になったから出ていくように言い出したということが稀にあります。
必ずしも出ていく必要があるわけではありませんが、このような争いがおこること自体が精神的にかなり苦しいものです。
金銭の贈与でも、お子さんの一人だけ贈与をしてしまうと、別のお子さんからも不平不満が出ることも有ります。

その結果、家族が不仲になってしまったということも起きるかもしれません。
弁護士と相談することで、ご自分の贈与がその後どのような影響が出るかをシミュレーションすることができます。
また、一度贈与を行った場合には、原則として撤回することは出来ません。

弁護士とともにいつ何を贈与するか慎重に検討することが必要となります。

 

 

2-4.生前贈与による遺留分などの相談ができる

 

遺留分とは、一定範囲の法定相続人に法律上保障された相続財産の一定割合を言います。
遺留分が生じるケースは、遺言があるときに限りません。
生前贈与により、結果的に相続人の遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害請求の対象となることも有ります。
せっかく生前贈与を行っても、ご自分の死亡後に遺留分侵害請求を受けて、目的が果たせなくなったという事態に陥ることも十分あります。
弁護士に相談することにより、生前贈与を行った場合には遺留分がどれくらいになり創価の予想を立てたり、その対策をすることができます。

 

 

2-5.ご自分の判断能力を担保してもらえる

 

せっかく生前贈与をしたのに、ご自分の死亡後、認知症などで判断能力がなかったと争われることも十分あります。
贈与してもらった側としては、被相続人には判断能力があったと思っていても証明するすべがないということはよくあります。

結果的に、判断能力があったと裁判所に判断されたとしても、訴訟をおこされること自体がかなり精神的に負担となります。
弁護士に依頼いただきますと、弁護士がまず、あなたに十分判断能力があるかを検討しますし、場合によっては医師の診断書をもらうようお願いする場合も有ります。
弁護士の証言、医師の診断書があれば徒に訴訟をされることは少ないと思います。

 

 

 

3.生前贈与を行うときの注意点

 

 

3-1.有効な契約と評価されるか

 

生前贈与する目的物が何かを特定できている必要があります。

また、ご自分の財産である必要があり、いずれ相続するから問題ないとお考えの方がたまにいらっしゃいますが、そのような贈与はすべきではありません。
よく問題となるのは、負担付贈与のケースです。

もちろん、何の見返りもなく財産の贈与をするというケースもたくさんありますが、一方で、ご自分の世話をしてほしいために財産を贈与するというケースもよくあります。
世話をしてほしいという、いわゆる負担付贈与の場合、具体的にどのような世話を求めるかを検討する必要があります。

贈与者の考える世話と受贈者の考える負担にずれが生じることは意外と多々あります。

その結果、世話の内容を巡って双方で争いになるということも十分考えられます。
世話の内容をできるだけ具体的に記載する必要があります。

 

 

3-2.契約書に問題は無いか

 

贈与契約は口頭でも成立しますが、先ほど述べた通り、争いにならないように必ず契約書と言う形で残したほうが良いでしょう。
問題は、どのようなものを作成すればよいかです。
ご自分が贈与のつもりで作成していても、後になって裁判で、これは贈与契約書ではないという判断を受けることもあります。

また、不備を指摘されることも有ります。
ひな形を利用することもできますが、ひな形ではご自分の考えていることと異なることも多々あります。

しかし、そのまま使用したことで思っていた通りの結果にならなかったということが起こってしまいます。

 

 

3-3.特別受益や遺留分について注意をしたか

 

主な唯一の財産が自宅不動産という場合に、同居している収入の無い子供に生前増をした場合はどうなるでしょうか。
贈与者がお元気なうちは税務的な問題を除き、特に問題は生じないかもしれません。
ところが、贈与者が死亡した場合、家をもらった相続人は他の相続人から、自宅をもらったのだから特別受益に当たるから預貯金は渡さないと主張されることはよくあります。
加えて、自宅不動産の生前贈与は遺留分を侵害しているから、侵害した分は金銭で支払うよう請求された場合はどうなるでしょうか。

家をもらった相続人には収入は無く、遺留分を支払うことは出来ません。その結果、家を売却して遺留分を払うしかなくなりました。
生前贈与は、多くの場合、特別受益や遺留分の問題が生じます。
生前贈与の際は、特に特別受益や遺留分にご注意ください。

 

 

3-4.判断能力に問題はなかったか

 

ご自分からではなく、受贈者側から生前贈与をしてほしいと求められた場合に、生じることが多いケースとして、事後に、当時の贈与者には判断能力がなかったと争われるケースです。

高齢の方が贈与する場合は特に認知症との関係で争われることが増えています。
軽度であれ、生前贈与を行う際には、主治医の意見や診断書をもらっておいた方が良いかもしれません。

 

 

3-5.贈与税との関係

 

預貯金を毎年少しずつ贈与するのであれば問題になることは少ないのですが、不動産を生前贈与するという場合には、必ずと言っていいほど贈与税の問題が生じます。
不動産の贈与をお考えの方は必ず税理士に相談してください。
当所は、同じフロアに提携している税理士があり、すぐにご紹介できる場合があります。

 

 

 

4. 生前贈与を行った良かった事例

 

 

4-1.手続を弁護士に任せることができた

 

生前贈与したいと思っても、実際にどうすればいいかよくわからないという場合、契約書の作成などを弁護士に任せることができます。

また、不動産の場合には、提携している司法書士事務所がありますので、併せて登記の名義変更をすることができます。

さらに、提携している税理士事務所がありますので、税務相談や申告を依頼することが可能です。
生前贈与と言っても何をしていいからからず面倒だという方は是非当所にご相談ください。

 

 

4-2.絶縁の相続人と連絡を取る必要が無くなった

 

ご自分の相続人となろうという方と絶縁している場合、相続が発生すると、相続手続を進めるために、嫌でも他の相続人が絶縁した相続人と連絡を取る必要があります。
しかし、連絡をしても絶縁した相続人が一切応答しないというケースも有れば、応答してくれたが要求が過剰でありなかなか協議が進まないということも有ります。
そこで、ご自分のお元気なうちに、残してやりたいとお考えの相続人に生前贈与をしたことで、相続人が絶縁した相続人と連絡を取る必要があるという事態を避けることができました。

 

 

4-3.行方不明の相続人を探す必要が無くなった

 

4-2と似たケースではありますが、行方不明者の場合はより手続きが必要となります。
絶縁した相続人であれば、他の相続人が住居を把握しているため、協議がと問わなければ家庭裁判所に調停を申し立てることで解決を図ります。
ところが、行方不明者の場合は、そもそもどこに住んでいるのかわからず、家庭裁判所も調停の呼び出しをすることができません。
このような場合、不在者財産管理人の選任をする必要があり、かなり手間と費用が掛かります。
そこで、ご自分のお元気なうちに、残してやりたいとお考えの相続人に生前贈与をしたことで、相続人が不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があるという事態を避けることができました。

 

 

4-4.遺留分を侵害しない程度の贈与ができた

 

生前贈与を行う際にどうしても問題になりやすいのが遺留分の侵害です。
ご自分のお子さんのうち、自分の世話をしてくれる子どもに多めに残してやりたいと思うのは自然なことです。
一方で、他の相続人がお金に細かったり、被相続人と不仲であった場合には、遺産分割や遺留分について徹底的に争うことも十分考えられます。
そこで、遺留分を侵害しない程度に生前贈与するという方法も有ります。
被相続人の財産を査定したうえで、遺留分を侵害しない程度の生前贈与を行うことができました。

 

 

4-5.自宅を配偶者に残すことができた

 

内縁関係であったり、ご自分に前配偶者との子どもがいる場合、自宅を現配偶者のために残すということが難しい場合があります。
現行民法では内縁関係の場合には、その内縁の配偶者は相続人になることができません。
また、前配偶者との間に子どもがいる場合、現配偶者と子どもの仲が良ければいいのですが、不仲であったり疎遠であったりする場合には、遺産分割協議において自宅不動産を配偶者が取得することが難しいことが少なくありません。

仮に自宅不動産を取得できたとしても預貯金がほとんど取得できなかったということも有ります。

もちろん、配偶者居住権を主張するということも考えられますが、その権利の価値はいくらかなど争いになることが予想されます。
そこで、生前贈与を行うことで少なくとも自宅不動産の権利関係を確定させることができました。

 

 

4-6.兄弟の一人に財産をあげることができた

 

お子さんがおられない場合、兄弟のどなたかにお世話になっているというケースもあります。

このような場合、疎遠なご兄弟には残さず、お世話になったご兄弟に残したいとお考えの方は多くいらっしゃいます。
生前贈与を行うことで、お世話になったご兄弟に財産を残すことができます。
お子さんがおられず、相続人がご兄弟の場合、遺留分がないことから、後になって他のご兄弟から遺留分を請求されることは有りません。

 

 

4-7.自分の財産を把握することもできた

 

生前贈与を行う際に、現時点でのご自分の財産を把握することから始めます。
預貯金の残高、不動産については名寄帳を取り寄せたり査定をしてもらったりします。
財産調査をした結果、ご自分の財産が認識とずれていたということがたまにあります。
そこで、当初の目的を修正した生前贈与を行うことになったということがあります。
もし、きちんと調査をしなかったら、後で紛争になっていたかもしれません。

 

 

 

5.まとめ

 

 

このように、生前贈与と言っても、契約書の作成やその後の手続き、将来生じうる紛争など様々な問題が生じます。
生前贈与をお考えの方は、まずは弁護士などにご相談ください。

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