遺産相続のお悩み相談所

遺産相続・遺言書の弁護士相談|吹田市のかめおか法律事務所

0120-428-042

受付時間:平日 10:00~17:30(時間外は要確認)

【用語解説】 調停

コラム

 

遺産相続における「調停」とは、相続人同士の話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所が中立的な立場から関与し、円満な解決を目指して行う手続のことを指します。

正式には「遺産分割調停」と呼ばれ、家庭裁判所に申し立てを行うことによって開始されます。

相続に関する問題は、財産の分け方や評価、寄与分や特別受益の扱い、さらには感情的な対立などが絡むため、当事者間での協議が難航することが少なくありません。

そのような場合に、第三者である裁判所が間に入って調整を行うことで、冷静かつ公正な合意を導くことを目的としています。

 

調停の手続きは、まず相続人の一人が家庭裁判所に申し立てを行うことから始まります。

申し立てが受理されると、裁判所が「調停委員会」を組織します。

調停委員会は、裁判官1名と一般市民から選ばれた2名の調停委員によって構成され、男女バランスや専門知識を考慮して選任されるのが一般的です。

この委員会が、当事者双方の意見や事情を丁寧に聴取し、合意形成を促していくのです。

調停は原則として非公開で行われ、プライバシーが守られた環境で話し合いが進められます。

また、調停委員は中立的な立場であり、どちらか一方に肩入れすることなく、公平な判断をもって双方の主張を整理し、妥当な落としどころを探ります。

 

調停の場では、相続人が一堂に会して意見を交わすこともありますが、感情的な対立が激しい場合には、調停委員を介して個別に意見を伝える「交互調停」が行われることもあります。

このようにして当事者の真意を確認しながら、相続財産の内容、評価方法、分割の仕方などを具体的に検討していきます。

調停では、法的な原則だけでなく、当事者の感情や家庭の事情も重視されるため、訴訟のように一方的な勝ち負けを決めるのではなく、双方が納得できる合意形成が目指されます。

そのため、相続問題が深刻な争いに発展する前に、調停によって円満に解決することが期待されているのです。

 

もし調停の結果、当事者全員が合意に達した場合、その内容は「調停調書」として裁判所により正式に作成されます。

この調書は確定判決と同じ法的効力を持ち、合意内容を強制的に実行させることも可能です。

たとえば、ある財産を特定の相続人が取得することになった場合、その権利移転は調書の効力によって確実に実現されます。

一方で、調停で合意が得られなかった場合、家庭裁判所は自動的に「審判」に移行し、裁判官が最終的な判断を下すことになります。

したがって、調停は訴訟に進む前段階の手続きとして、柔軟かつ話し合いを重視した解決方法といえます。

 

調停は、法的な手続きを伴いながらも、実質的には「話し合いによる解決の場」であり、当事者の協調姿勢が重要です。

調停委員が法的な視点から助言を行うことで、感情的な争いを整理し、現実的な解決策を提示してくれる点が大きな特徴です。

また、専門的な知識を有する弁護士に代理を依頼することで、法的根拠を踏まえた主張を整理し、より有利かつ円満な解決を目指すことも可能です。

0120-428-042