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【用語解説】 特別縁故

コラム

 

遺産相続における「特別縁故者」とは、相続人がいない場合に、被相続人と生前に特別な関係を有していた人物に対し、家庭裁判所の判断によって遺産の一部または全部を分与することが認められる制度における対象者を指します。

法律上の相続人ではないものの、被相続人との関係性や貢献度からみて遺産を受け取ることが社会的・道義的に相当と認められる者に配慮する趣旨を持つ制度であり、被相続人の生活を長期間支えた知人や親族関係のない同居人、療養看護に尽力した人物などがその典型例とされています。

特別縁故者は相続人ではなく、遺贈を受けた者とも異なり、法律上当然に遺産を承継する権利は持ちませんが、相続人不存在という特殊な状況下において、家庭裁判所の審判を経て初めて遺産を取得することが可能となる点に特徴があります。

 

特別縁故者として遺産分与を受けるためには、まず相続人が誰もいないことが前提となり、この場合、家庭裁判所は相続財産管理人を選任して遺産の管理・清算手続きを進めさせます。

その後、一定の期間を経て相続財産の引取り手が現れない場合に、特別縁故者からの申立てに基づき、家庭裁判所が遺産分与の可否およびその範囲を判断します。

特別縁故者に該当するかどうかは、被相続人との生活関係、貢献の具体性、精神的・経済的な支援の程度、被相続人の意思の推測可能性など、個々の事情を総合的に勘案して判断されます。

たとえば、長年にわたり同居して家事や生活介助を行っていた人物、被相続人が判断能力を失った後も経済面を含めて生活全般を支えていた者、あるいは被相続人の福祉や療養のために特に献身的な援助を行ってきた者などが、具体的に特別縁故者と認められる可能性が高いとされています。

また、被相続人と事実上の親子関係にあった者や内縁関係の配偶者が認められるケースもあり、形式的な血縁関係の有無よりも実質的な関係性が重視される制度であることが分かります。

 

特別縁故者が遺産の分与を受ける場合、遺産全体が与えられるとは限らず、家庭裁判所はその者の貢献の割合や被相続人との関係性に応じて、相当と認められる範囲の財産を分与します。

仮に特別縁故者が複数存在する場合は、それぞれの関与の程度に応じて按分されることもあります。

さらに、特別縁故者の申立てには期間の制限があり、相続財産管理人が相続人捜索の公告を行い、相続人がいないことが確定してから三か月以内に申し立てを行わなければならないなど、手続的な要件も定められています。

 

特別縁故者制度は、相続人不存在という例外的な状況下でも、被相続人の生前の人間関係や恩義に報いる形で遺産を活用することを可能にする仕組みであり、血縁や戸籍上の関係だけでは救われない実質的な関係性を尊重する意義を持っています。

その一方で、家庭裁判所の裁量によって判断されるため、申立てにあたっては被相続人との関係性を示す資料の収集や具体的な事情の説明が極めて重要であり、法的な専門性が求められる場面も多く、弁護士のような専門家の助言を得ながら申立てを検討することが望ましいでしょう。

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